マイナンバーカードと運転免許証を一体化するそうです
デジタル大臣の河野太郎さんが、ご自身のX(旧ツイッター)でマイナンバーカードと運転免許証の一体化を2024年度中に開始する、と投稿されたそうです(X(旧ツイッター)のその投稿はこちら)。
今更言わんとっても、令和4年6月の閣議決定において、令和6年度(2024年度)末までに免許証とマイナンバーカードは一体化させますよ、と言ってるんですが(内閣府経済財政諮問会議の資料はこちら)。またぞろアレですかね、騒ぎを巻き起こして話題を盛り上げようとする、河野大臣お得意のパターンなんでしょうかね。
時期はまだ未定だそうですが、年度内には…ってことだそうで。
どーなるかというと
実態としては、マイナンバーカードに運転免許証のデータを取り込むような形、と理解すればいいのかな?
でも、実際には免許証の所有者本人の意思によって、以下の選択肢があるそうです。
- 従来の免許証を使用(今までと変わらない)
- 一体化して従来の免許証を破棄
- 情報を紐づけするけど、従来の免許証も持つ
つまり必須でも義務でもありません。
免許証とマイナンバーカードの一体化をやってしまうと、便利なこともあるけど却って不便になることもあるらしく。
便利なことと言えば、免許証の更新が楽になる(らしい)ってこと。
で、不便なことと言えば、無くした時にややこしいってことです。
その内容は、CAR-TOPICSというサイトで詳細に説明してくれてますので、ここでは割愛します。
私はここでは、ちょいと目線を変えて免許証のことを中心に考察してみたいと思います。
免許証のICチップはどうした?
随分前から、運転免許証にもICチップが入ってましたよね?
免許証を持っている人の割合は、全国平均でだ75%弱くらい(内閣府のwebサイト:令和3年交通安全白書から、令和2年の数値)だそうで、ずいぶん大勢が持ってらっしゃいます。つまりそれだけICチップが普及しているわけで。
元々、私はコレをマイナンバーカードとして利用すれば、普及なんてあっという間じゃないかって思っていたんですが、何故か国はそんなことをせず、わざわざ新しいカードを発行することにしちゃいました。
そもそも免許証のICチップって、使ってると思います?
免許証更新の際には、暗証番号も通知されますが、その暗証番号を使わねばならなくなったことってあります?
レンタカーを借りる時とか、免許証を出した際にチップを読む機械があった、なんてところは見たことが無いです。あたしゃ安全運転の人なので、もうずーっと運転中に警官から免許証を見せろなんて言われたことがありませんが、警官が何かチップを読む機械を持ってますなんてぇ話は聞いたことがありません。
あいかーらず、印刷された面を見ているだけ。
住所変更にしたって、裏側に手書きするだけです。あのチップは何に使っているんだろう?
例えばパトカーや白バイなら読み取り機が実はあるのかもしれませんわな。電源は確保できますから。でも電波が届かないところでは使い物になると思えないですけど。それに、自転車のお巡りさん、歩いているお巡りさんが、そんな機械やバッテリーを持っているようにも思えず。
なぜ、免許証のICチップの効果を検証しないんだろう?
運転免許証は、実質的な身分証明書としての役割を果たしてくれています。そらぁ国民の7割5分が持っていれば、そんなことに使うこともできますわな。
そこにICチップを載せました。本人確認はネットを通じてより確実に行えるようになりました…やりました?使ってないでしょ?ICチップ導入後の初めての免許更新の際、センターのおっさん(=退職したお巡りさん)は、「多分使わないと思うけど大事な番号だからね」なんて言ってました。使わないのに大事だなんて、矛盾してますなぁ。そんな表現をするものって、あたしゃ(不謹慎ですが)核兵器以外に思いつくものがありません。ありゃ使わないのが当たり前で使ったりしたらエライこっちゃって代物でしたな。
その後も何度か更新がありまして、そのたびに暗証番号はメモにして渡されているんですが、一度たりとも使ったことがありません。メモなんざどこかにしまいこんでしまっていて、今となってはどこにあるのかわからない…を繰り返してます。
あのICチップ入りの運転免許証、どんな事務効率化に役立ったんでしょう?
どんなに迅速かつ正確な免許証確認ができたんでしょう?
暗証番号を使って、何か新しい行政サービスとかやったんでしょうか?
全く聞いたことがありません。そこへマイナンバーカードの登場です。それまで全く使うことのなかった運転免許証のICチップがようやく使いものになるのかと思いきや、別物になってしまいました。そしてそのまま、運転免許証のほうがマイナンバーカードに取り込まれようとしています。
運転免許証へのICチップ導入は、結構な予算がかかっているはずです。私らが県庁職員だった時代に調べた時の記憶では、調達するだけでカード一枚あたり2000円かかりました。これが国民の75%、およそ8200万枚が必要になるんです。1回発行する分だけで、1640億円です。まぁ単純な掛け算ってわけにはいかないでしょうけど、それにしたってすっげぇ金額になっちまう。
これは更新を含まない、現在流通している免許証のカードだけのボリュームです。ここに機械が必要になっちゃう。パトカー・白バイは全国に約4万2500台あるそうです(警察庁資料より)。これに1台ずつ読み取り機が必要だとすると、どうなるでしょう?
病院や薬局の窓口に置かれたマイナンバー読み取り機は1台あたり10万円強。仮に10万円とすると(安すぎるとは思いますが)、42億5千万円です。これは機械の調達費だけ。システムの構築費が必要であり、運用費が必要なのは言うまでもなく。
これ、どんな効果があったか検証しないでおいて、なんでマイナンバーカードの導入に踏み切れたのか、私には全く理解できません。
荒っぽい推測による金額に過ぎませんが、おそらくこれ以上の金がかかっているんだろうと思います。それをブチこんで作ったシステム、ほとんど使ってないってわけ。
で、せっかくそのような仕組みを作っておいて、マイナンバーカードはまた別のシステムとして作っちゃった。今度はそのマイナンバーカードに運転免許証を取り込むと言ってますが…それは必須でも義務でもなく、免許証の本人の選択によるわけで、当然、運転免許証のシステムはそのまま残ることになります。
完全な二重投資であり、無駄の最たるもののように思うんですが、そうじゃないって誰か言ってくれませんかねぇ?
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