海の銀座;浦賀水道(神奈川県・千葉県)

あちこち銀座

銀座は、町とか商店街とかだけとは限りません。色んなものが集まっている所は〇〇銀座、と称されることが結構多いようです。

海にも銀座があります。東京湾口の浦賀水道のことを海の銀座、というそうです(他にも鎌倉市の夏の由比ヶ浜を「海の銀座」と呼んだりするそうですが)。

今回は東京湾で数多くの船が行き交う海の銀座「浦賀水道」を通ってみました。

どこのこと?

三浦半島と房総半島に挟まれたエリアのことで、東京湾と太平洋との出入口にあたります。聞くところによると、そのエリアのうち房総半島寄りのほうは水深が浅く大型船が通るにはちと不都合があるそうで、あまり広くない割に世界的にも有数の通行船舶数を誇るというこのエリアでは、三浦半島側に航路が設定されているんだとか。

今回、この海の銀座を訪れるにあたっては鉄道と船とごく一部でシェアサイクルを使いました。そのコースは以下の図のとおりです(注:Googpeマップからコピペした上で、パワポ上でコースを「こんな感じ!」ってなもんで適当に描きました。ですので実際のコースとは若干ズレがあります。起終点は都内某所です)。

上の図において、一番下の海上を通る箇所、ここが海の銀座である浦賀水道を横切る東京湾フェリーです。左の三浦半島側は久里浜港、右の房総半島側は金谷港になります。

ちなみにこの路線に就航しているのはカーフェリーですので、車で来た場合はその車のままで乗船することができます。バイクや自転車も同様。東京湾を横断するアクアラインは何でもめちゃめちゃ混むって話ですから、もしかするとこっちのほうが楽かもしれないな、なんて思います。

どうやって行くの?

この東京湾周回コースを、私は東京都内某所から時計回りで移動しました。千葉市周辺あたりまでは普通に首都圏への通勤圏内ですよね。今回は風に弱いと評判の京葉線を使い蘇我まで行って、そこから内房線に乗り換えです。

都内で走っているような電車が、気づけばかなりな田舎(つまり私の故郷の岐阜県内で言えば高山線のような)の風景で単線になっています。降車駅は浜金谷。1時間に1本くらいしか電車が来ない駅ですので、乗り遅れたりするとエライことになります。岐阜県のローカル線で言えば長良川鉄道のよーな。ありゃあディーゼルですが。

駅で降りたら、「フェリー乗り場」という案内看板がありますので、それに従って10分弱くらい歩きます。駅から海側へ出たら(海側しかないんですが)、駅前の道を海へ向かって真っすぐ歩き、ちょいと目立つ大きな道に突き当たったら右折(=鋸山ロープウェイの反対方向)、その道をてくてく歩くとじきにフェリー乗り場が見えてきます。

かなり広い駐車場があり、その奥のほうにフェリー乗り場。

周辺にはあまり建物は無く、駐車場の隣に比較的大きいレストラン&土産物店がありますが、こので売られているものはフェリー乗り場の売店で売られているものと大して違いません。バームクーヘン専門店が入ってたりする分、ちょっと充実度が高いのかな。

久里浜港は、京浜急行本線の京急久里浜駅が最寄り駅ですが、港からは若干距離があり、バスが運行されています。またこの近くにはペリー公園というのがあって、そこにシェアサイクルのポートがありますので、それを利用することもできます。

カーフェリー利用上の注意

この航路で運航されているのはカーフェリーですので、車のまま乗船できます。っつか、車で乗船する人たちは、車で乗船して車で下船しないと叱られます。どうやら乗った人と降りた人の数が合わないと大騒ぎになるらしいです。

車の場合で、運転手だけが車で乗船し、他の同乗者が徒歩乗船者用の入り口から乗船しようとすると、結構ブチブチネチネチと言われてしまいます。私が乗船した際も間違えているファミリーがいました。最終的にはチケット無しで乗船し、下船時には車にのって降りてくれ、と言われて通してもらってましたが。

そーするってぇと、おそらくバイクで2ケツしてる場合も同じことになるんでしょうね。確認はしてませんが。

乗船してしまえば、接岸・離岸の時以外は車両デッキも含めて行動は自由です。なので上述のファミリーも、船内で運転手とファミリーが合流できるってわけ。たぶん合流したら入口のオッサンにネチネチグダグダ言われたっつー盛大なグチ大会になることでありましょう。

自転車の場合も要注意。自転車に乗って乗船する場合と、輪行といって自転車をバラして袋に入れて乗船する場合とでは、料金が違うし乗船・下船口の場所も違います。

さらに歩行での利用者の皆さんへ。

徒歩乗船者入口

チケットは乗船時にスタンプを押してもらい、下船時に回収されます。これによって乗った人と降りた人の帳尻があっていることを確認しているらしいです。ですので、チケットを無くすと面倒なことになりそうですから、無くさないように注意しましょう。

また、久里浜と金谷では、乗船・下船口の位置が違います。なので、初めて利用する方は船の中で出入口を確認しておいたほうが良いかも。あたしゃ下船時、間違えて車両デッキまで下りてしまい、デッキへ降りてくる人の波のため戻れなくなって、あやうく叱られるところでした。

久里浜港での下船口

車両デッキと上甲板とをつなぐ階段は船の後ろの方にもあり、そっちのほうが人が少なくて上がりやすいです。

どんなところなの?

海の銀座自体は、よーするに船がぎょーさん行きかう航路でございって意味です。実際、この航路を横断するフェリーから見物していると、あちこちに小さいのから大きいのまで、たくさん船を見ることができました。ふざけてるのかわかりませんが、小型のボートでフェリーの後ろをウロウロしてるのもおりましたな。

仕方ないとは思いますが、房総半島側の金谷港ははっきり言って田舎です。それも結構激しい田舎です。おそらくですが、徒歩で観光のため訪問するのに適しているとは思えず、車やバイクで来た方がいいと思います。

金谷港を出港

海の銀座である浦賀水道は、東京湾口の西側に偏った場所だそうです。というのも、房総半島側は水深が浅く、大型船では座礁の危険が高くなるんだそうで。その分、房総半島寄りのエリアは良い漁場に恵まれているらしいです。

三浦半島側の久里浜港の近隣は、金谷に比べればずっと市街化が進んでいます。すぐ隣に大きなホームセンターがあったり、船宿も多く見られます。

久里浜港着岸直前の様子

この久里浜港からすぐ電車に乗りたいよ、という方は、港の待合の建物のすぐ脇にバス乗り場がありますので、バスで駅まで行けます。歩くとちょいとシンドイと思いますよ。

そしてこの土地は幕末にアメリカからペリーがやってきて上陸したところでもあり、近くにペリー公園というのがあって、ペリー来訪の記念碑や記念館があったりします。砂浜も綺麗に整備されていて、家族連れなどが休日を楽しむ様子が見られます。

このペリー記念館の脇にシェアサイクルのステーションが設置されていて、電動アシスト自転車を借りることができます。徒歩で来てしまうと移動の足の確保が大変そうですが、自転車を借りることができれば、かなり自由度が上がります。

千代ケ崎砲台跡から海の銀座を望む

ペリー公園でシェアサイクルと借りて、近くにある千代ケ崎砲台跡地を見物に出かけました。

日本の海岸線ってのは、どこもたいがい切り立った崖とかが海の近くにあって、道路の上げ下げが多い気がしませんか?三浦半島もご同様。千代ケ崎砲台というのも、結構な山の上にあります。考えてみれば幕末あたりから首都防衛のために砲台を築くような場所ですから、山の上なのは当たり前なんですけどね。

ということでその山の上に行くのに、自転車はあまり適していません。歩きももちろん大変ですが。アシスト自転車を借りたんですが、それでも激坂が多くかなり疲れます。日頃の運動不足のせいかしら?

そして千代ケ崎砲台の結構な手前で、自転車を降りて駐輪し、そこから歩かねばなりません。この先でもなんとかなるだろ、なんて根拠のない希望的観測によって駐輪場を無視してスルーしたりなんかすると、上には全く駐輪場なんてものは無いので、逆戻りということになってしまいます。

入口横の看板。自転車置き場は無い。

入っていくと地元のボランティアの方々が無償でガイドツアーするからどーよ?って誘ってくれます。これは滅茶苦茶お得なツアーですので、特に初めて来たような場合は是非お願いすべきです。ガイド無しでは見ることができない、なんて場所があったりしますし。

そのガイドさんの案内で、砲台跡地の一番上まで登ると、浦賀水道を一望することができます。房総半島がすぐそこに見えますので、やはり狭い場所なんだな、というのもよくわかります。そこを船が通るってんなら、大砲ぶっ放すにはいい場所なんでしょうね。

砲台跡頂上から三浦水道をのぞむ

このエリア、実は砲台跡地の一部だそうで、一部は民有地になっているんだそうな。

戦後に砲台が廃止されてから民間に払い下げられ、果樹園になったそうでして(かつては砲弾などをしまっていた弾薬庫跡が豚小屋になってたりしたそうです)、この跡地で公開しているエリアはその一部を横須賀市が買い取ったとかいう話でした。なので砲台跡の一部はまだ民有地になっており、そのエリアにも砲台の設備が一部残っていたりします。

こんな経緯とかもボランティアガイドさんが説明してくれました。結構大変だろうと思うんですが、無償でやってくれているんですね。頭が下がります。お礼を…って言ったら断られましたので、ちょろっとだけ寄付してきました。

ここからは浦賀水道を一望できますし、当時の要塞ってのがどんな雰囲気のものなのかってのをお勉強するってのも面白いです。

海の銀座は…

数多くの船が通る東京湾口の狭い航路、浦賀水道。

東京湾フェリーでその海の銀座のど真ん中を船上から見物することもできますし、久里浜港近くの千代ケ崎砲台からは浦賀水道を一望できます。

また今回は行きませんでしたが、房総半島側の金谷港の近くには鋸山という山があり、ロープウェーが整備されていましたので、鋸山の山頂からも浦賀水道を一望できるのではないでしょうか。次に行くなら車かバイクで行きたいですね。

都内から1時間くらいで行ける港湾・浜辺トリップ、手軽な沿岸観光として良い場所だと思います。

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