国の役所でセキュリティ対策のアルバイト

電脳雑記

2023年12月25日のヤフーニュースの記事によると、総務省のサイバーセキュリティ統括官室というところが、サイバーセキュリティ政策の企画・立案に関する助言・情報提供を行うための人材として「サイバーセキュリティエキスパート」というのを募集しているそうです。

ちなみに、総務省のウェブサイトの当該情報のページはこちらです。

何するの?

記事によると、その職務内容は「総務省のサイバーセキュリティ政策に関する企画・立案の助言と情報提供」「 国内外のサイバーセキュリティ最新動向の分析・情報提供」などだそうです。

勤務時間は毎月第2金曜日の午後4時から6時までの2時間、勤務地は東京都千代田区霞ヶ関。公式サイトの募集ページを見ると、サイバーセキュリティ統括官室となってますから、総務省の本省へ出向くんでしょうね。この統括官ってのに個室があるのか、それともスタッフと一緒の部屋でエラ様机に座っている人なのかは知りませんが。

それで会議とかに出るのかな?まともに何か資料作ったりとか企画まとめたりとか、こんな短時間の勤務でそんなことするわけありませんな。レポート作ってこいとか言われるのであれば、その分をお時給に加えてもらわないと割に合いませんしね。

雇用期間は2024年1月1日から12月31日までの採用日から1年を超えない期間としています面倒くさい書き方をするのはいつものことですが、よーするに2024年の1年間ってことです。なんか問題あったりしたら辞めてもらうことになるけどさーってゆーお役所にとっての保険つき。

どんな人?

応募資格は、約10年以上のセキュリティ分野の実務経験と、サイバーセキュリティ分野の最新技術や動向に関する専門知識を有すること、だそうです。

こんな大雑把な条件でいいのかなぁ?

結局、どんな仕事するのか具体的なことは全然わからないですもんね。それは面談の中で何かお話があるのかしらん?

ナンボくれるの?

給与は時給7,500円だそうです。

月1回の勤務で1回あたり2時間ってことですから、1日あたり(っつか1ヶ月あたり)15,000円です。

これ、総務省のそのエライ人の部屋に来てる時間だけが支給対象としてカウントされるんですよね。関連する調べものとかあったとしても、それについて持ち帰って調べてみたり…とかすると、それは支払いの対象外。

専門家とかゆーのを何だと思ってやがんだ?って思いますなぁ。

役に立つの?

この場合の「役に立つ」とゆーのは、役所にとって…ってのと、応募する本人にとって…の2通りがあります。

役所にとっては、まぁ足りないスキルを補うって意味では役に立つんでしょう。いわばお墨付き効果です。「エキスパートがこーゆーたしなぁ」ってゆー奴。色んな政策の展開が通りやすくなるなら、そらぁ役に立つって言えるでしょう。

本人にとってはどうでしょう?

ここからは全くの邪推ですよ。

おそらく仕事の内容は、こんな政策はどや?こんなプランはどや?ってのを示されて、それに対する意見を述べさせられるとか、或いは委員会だの何だのといった会議の場に出す資料のレビューとか論点整理とか、そーゆーことを求められるんじゃないのかな?

結構ね、怖いと思うんですよ。

役所は役所で、結構なエライ人とか専門家とか言われる人たちをひっかき集めて政策を議論するんです。ところが役所の側にはセキュリティどころかITなんざほぼ素人でございって連中ばかり。そんなんが雁首揃えたところで、数多くの専門家に太刀打ちできない。だから、それを助けて欲しいってことじゃないかしらん?

簡単にゆーたら、助太刀です。

面倒くせぇのがやってきたら「センセ、ここはひとつ頼んまっせ」ってわけです。

でもねぇ、一言でセキュリティ対策と言ってみても、技術的な面でのことはもちろん、人材であるとか法律面であるとか、経済的にはどーなのよ的なこととか、いろんなことを言う人がいるのに、それに対抗するのが「セキュリティエキスパート」とゆー何でも屋。エキスパートなんだからこーゆーの何でもこなせよってことなのかもしれんけど、考えてごらんなさい。そんな知見を持つ人ってのが、たかだか1ヶ月15,000円の小遣い稼ぎみたいな仕事、好き好んでやると思います?

10年以上の業務経験となると、年齢の幅は30台前半から40台ってところでしょうか。よほどすげぇ人でないと務まらないであろうと思われる業務なのに、お給金は激安です。こんな安い給料ですげぇハイスペックな人がこれをやる動機があるとしたら、よーするにハクが欲しいってことじゃないかと。国でセキュリティエキスパートをやりましたってぇ経歴が欲しい。それがあれば、その後あちこちで講演したりコンサルしたりと、お仕事の幅が広がるんです。

で、そうだとすると、その仕事自体は無難に過ごして敵を作らず、色んなエライ人の知己を得ておくのが妥当ってことになります。自分に傷がつくかもしれないような思い切ったことなんて言えません。

そうやって考えると、このセキュリティエキスパートってゆー人材募集、なんだか中途半端でいかにも役所にばかり都合よく考えて人を募集してるよなぁって思います。もうちっと、応募する人のことを考えてあげないと、人なんかくるわけないじゃないですか。自分の都合だけ考えてれば誰か応募してくれる…なんて、都合よすぎです。

もちろん、こんなことにならずすっげぇイイ人材がやってきてテキパキと仕事してくれて、我が国のDXを進化させる大きな助けになりました、ってことだってあり得ないとは言いません。でもそのためには、ものすごく献身的で知見も豊富、将来の心配も何もない、とゆー人が来てくれることを期待せねばならない気がして、日本の役所ってのはとことん甘いというかお人良しというか、言いかえたらボンクラだよなぁって思っちゃうんです。

あたしゃ意地悪なんですかねぇ?

でも、欲と得を上手にコントロールすることこそが、人材確保の道だと思うんですよね。このセキュリティエキスパート募集は、どう考えても「人の善意」に寄りかかりすぎなんじゃないかと。

そらぁ、してヤられるわけだ。

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